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バイオフィルムとは何か? ”正確にはバイオフィルム(生物膜)としてよく知られているが、スライム(ねと)シティは水があるところならどこでも、台所でも、コンタクトレンズでも、動物の腸管ライニングにも、はびこっていく。そのシティが郊外へどんどん伸びていけば.バイオフィルは肉眼で見ることができるようになり、水道管の内部をコーティングしたり、あるいは鉛管設備からつるつるして緑色にぶら下がってくる。”(Coghlan 1996) 簡単にいえば、バイオフィルムとは微生物が排泄するスライムで囲まれた微生物の集合体であり、自動力のない表面または生きた表面に付着している。あなたはすでにいくつかのバイオフィルムを知っている:歯の上に付いたプラーク、川の石の上のぬるぬるしたスライム、花を1週間いけておいた花瓶の内部のゲル上の薄膜などである。 すべての細菌の99%以上はバイオフィルム社会に住んでいる。有益な細菌もある。たとえば、汚水処理プラントは水から汚染物を除去するためにバイオフィルムに依存している。しかし、バイオフィルムはパイプを腐食させたり、水フィルターを詰まらせたり、医療インプラントの拒絶を起こしたり、そして飲料水を汚染させる細菌を保持したりすることによって問題も起こす。 なぜバイオフィルムについて学ぶのか?”微生物学者は伝統的に実験室内の培地に発育する浮遊細菌に焦点を当ててきた;しかし、彼らは最近になって自然界では多くの細菌はバイオフィルムとして凝集していることを認識するようになってきた。細菌は非常に異なった振舞いをする形態である。その結果として、バイオフィルムは今では微生物学における最もホットなトピックスの一つである。”(Potera 1996) あらゆる給水システムにおけるように、自動給水システムにおける細菌の99%は内部表面にくっついたバイオフィルムの中にいそうである。バイオフィルムは飲水中の浮遊細菌の多くの源泉であり、それらの細菌の中には実験動物に感染や病気を起こすものがある。一つの一般的なバイオフィルム細菌である緑膿菌は免疫系の抑制された動物に感染する二次病原菌である。動物の健康に影響する細菌の保有体であるばかりでなく、バイオフィルムはステンレススチールの配管システムに腐食も起こす。我々の顧客が要求する細菌学的品質を届ける自動給水システムを設計し操作するために、我々はバイオフィルムがどのようにできてくるか、バイオフィルムが起こす問題、そしてどうしたらそれを制御できるかを知らなければならない。 バイオフィルムの中の細菌を理解することは今後に備える第一ステップである。我々は、塩素添加逆浸透水を供給し、フラッシングと消毒で水質を維持することによって、顧客の多くが要求する細菌学的水質基準の多くを満足してきている。(Microbiological Survey of Automated Watering Systems,D209,Dreeszen 1996参照)しかし、動物の飲水に塩素の使用が禁止されたらどうするか?あるいは、新しい特殊な動物の使用にともない水質基準がもっと厳しくなったらどうするか? もちろん、みなさんがバイオフィルムについて知りたいと思い、細菌がその環境に適応し我々が除去しようとする試みを回避する能力を知って驚嘆するかもしれない。
ステップ1 表面のコンディショニング
ステップ2 ‘パイオニア’細菌の付着
ステップ3 グリコカリックスすなわち‘スライム’の形成
栄養素が蓄積するにつれて、パイオニア細胞は増殖しはじめる。娘細胞は自身のグリコカリックスを産生し、イオン交換表面のボリュームを大きく増加させる。やがて、細菌の発育コロニーができる。(Mayette 1992)
成熟バイオフィルムにおいては、ボリュームの多くは細菌細胞(5〜25%)よりもゆるく組織されたグリコカリックスのマトリックス(75〜95%)で占められる(Geesey1994)。グリコカリックスのマトリックスは大量の水を保持しているので、バイオフィルムで覆われた表面はゼラチン状でつるつるしている。 ステップ4 二次コロニー形成微生物 ステップ5 完全に機能するバイオフィルム:種の協同的“債権者会” “異なる種がスライム・シティの中で親密に生活し、お互いに助け合って、隣人らしい交互作用を通じて食糧供給を利用し抗生物質に抵抗している。ある種が産生する毒性のある排泄物はその隣人ががつがつと食べてしまう。そして、公共のスライム・シティを建設するために生化学的資源をプールすることによって、数種の細菌は、それぞれ異なる酵素で武装して、単一の種だけでは消化できない食糧供給を消化する。”“バイオフイルムはあらゆるレベルでチャンネルのネットワークが浸透し、これを通じて水、細菌の排泄物、栄養素、酵素、代謝物および酸素が行き来する。ミクロゾーン間の化学物質とイオンの勾配によってバイオフイルムの周囲の物質を入れ替える力が生まわる。”(Coghlan 1996) バイオフィルムは発育し広がる
バイオフィルムが発育する速度 バイオフィルムができる理由:食料と保護 食料 飲料水、とくに高純度の水道水は栄養の乏しい環境であるが、低すぎて測定できないほどの栄養濃度でも、細菌が発育し増殖するのに十分である。栄養の乏しい環境で発育できる細菌および他の微生物は低栄養微生物と呼ばれる。細菌は栄養素に遭遇する機会を増やすために、表面を発見し付着する手段を発達させてきた。表面への付着とバイオフィルムの発育によってどんな利益が得られるか?
運動性と走化性 運動性の細菌は化学的濃度勾配に沿って栄養濃度の高い方へ泳ぐことができる。化学的(栄養)勾配に反応して微生物が運動することを走化性と呼ぶ。緑膿菌は鞭毛を用いてパイプ壁の高い栄養濃度の方へ動く運動性の細菌である。緑膿菌がステンレススチール表面に付着することに関する実験において(Stanley1983)、研究者達は鞭毛を除去するために細胞をプレンダーの中に入れた。鞭毛が除去されると細胞の付着率が90%減少した。 疎水性細胞壁多くの微生物は精製水システムで遭遇する飢餓状態に直面すると、表面への親和性を高めるために細胞壁の構造を変化さえることによって応答する。外膜のタンバクと脂質の構成を変化させることによって、荷電と疎水性を変化させることができる。細胞壁は疎水性になる。“このような疎水性の細胞は水コラムからの出口を見つけること以外に何も要求しない。いったん境界層(流速がゼロに下がっているパイプ壁のデッドゾーン)にはいると、細胞はパイプ表面に引きつけられる(Mayette1992)。 細胞外ポリマー産生 いったん表面に達すると、細菌壁はその粘着性のポリマーで表面に自身を据え付ける。単純なフラツシングではもはやこれらの細胞を除去するには適切でない。 消毒薬からの保護 この研究者はバイオフィルムを伴った細菌は浮遊細菌よりも遊離塩素に対して150〜3000倍、モノクロラミンに対して2〜100倍抵抗性が高いことを証明した。 別の研究者の仕事(Anderson1990、下記要旨参照)は、緑膿菌はその攻撃物をかわす賢明な手段を持っていることを示唆している:緑膿菌はパイプ内部にたまる粘着性のスライムを分泌する。給水システムの中をフラッシュされる殺菌剤は浮遊微生物を殺すが、粘着性のバイオフィルムに埋没された細菌には触れることができない。
細菌がバイオフィルムの中にいるとき、細菌は殺菌剤に非常に抵抗性である。“実際に、殺菌剤処理後、自身を守るために微生物は多くの細胞外ポリマーを産生することが多い(Borenstein1994)。” どのようにしてバイオフィルムは消毒薬から保護されるか? 保護シールド バイオフィルムを形成する細胞を破壊するためには、消毒薬は先ず周囲のポリサッカライドネットワークと反応しなければならない。細胞自身は実際的に抵抗性ではなく、どちらかというと自分自身を保護シールドで囲んでいる。消毒薬の酸化カは細胞に到達する前に使い果たされている。 拡散限界 細胞がパイプ壁に付着するとき、消毒薬のデリバリーは、境界層を横切りバイオフィルムを通過するその化合物の拡散率によって制限を受ける。消毒薬がバイオフィルム中の細菌細胞に到達するには、浮遊微生物よりも、長い接触時間にわたる高濃度が必要である。 新しい発見 Center for Biofilm Engineering Center for Biofilm Engineering は Bozeman にある Montana State University に 1990 年に National Science Foundation Engineering Research Centers プログラムによって設立された。その任務はバイオフィルムのできるプロセスを理解し、コントロールし、そして利用するための基礎知識と教育を進めることである。センターのホームページは http://www.erc.montana.edu. バイオフィルムの構造 過去において、微生物学者はバイオフィルムは特定の構造またはパターンなしに位置している細菌の無秩序な固まりを含んでいると仮定していた。ゲル上の構造を破壊せずにバイオフィルムを拡大してみせる新しい技術によって研究者達は、あたかも衛星から都市を見るかのように、複雑なバイオフィルムの構造を発見することができた。この構造は最近の論文“Slime City”(Coghlan1996)に書かれている: “多くの場合に、バイオフィルムの底は厚さが5-10ミクロンの緻密で不透明なスライムの床である。それは、ポリサッカライド、他の高分子物質および水、細菌が産生するあらゆるものの粘着性の混合物である。100〜200ミクロン上にまいあがっているのはマッシュルームか松かさのような形をした細菌のコロニーである。街路に相当するところの上にはもっと多くのスライムがあり、チャンネルのネットワークのある水っぽい構造と様々な密度を持っており、水、細菌の排泄物、栄養素、酵素、代謝物および酸素が行き来している。”
注:定期的にフラッシングされている自動給水システムでは、バイオフィルムの厚さは200ミクロン以下でなければならない。バイオフィルムの厚さと流速の項参照。 バイオフィルム細菌の生化学 たとえば、Center for Biofilm Engineeringは緑膿菌がどのようにバイオフィルムを形成するかを研究した。菌がガラスにつくやいなや、菌はアルギン酸塩(通常、スライムの粘着性の形態)の合成に関与するある遺伝子にスイッチし、いったん細菌がアルギン酸塩に取り込まれるとそのスイッチを切る。現在、研究者達は、細菌細胞壁に存在するタンパクの30〜40%もが固着菌と浮遊菌(‘都会生活者’と‘フリー浮浪者’とCoghlanによって呼ばれている、1996)とで異なっていると推定している。抗生物質の標的の中にはもうそこにはいないものがあるので、細菌を殺すことが難しくなる。これが主としてヒトおよび動物の内部のバイオフィルムの問題である。 化学的シグナル 消毒の意味するところ これは、自動給水システムにおいて何を意味するか?一つには、水が低濃度の塩素を含んでいるときでも、どのようにして菌数を数えるかを説明する。水道水中の典型的な塩素濃度は0.5〜2.O ppmである。この量の塩素は、浮遊細菌を殺すことがわかっているが、バイオフィルム細菌を殺すには不十分である。抜け落ちたバイオフィルムの断片はプレートカウントで現れる生菌を含む。これは重要なスライム産生菌で塩素耐性の強い緑膿菌では特別な問題である。ある動物施設では自分自身の検査を通じて、低い緑膿菌数を達成するためにRO水に約3 ppmの塩素が必要であると決めた。 発育因子 表面材料 ある文献は、バイオフィルムの付着を遅らせるあるいは減らすために抗菌性添加物をプラスチックに入れることについて述べている(Hamilton1988)。しかし、彼らが用いた化学物質は飲料水供給には安全ではない。あるイオン交換樹脂を銀コーティングして微生物の発育を防いだ。しかし、銀耐性の細菌集団が発育する可能性がある(Flemming&Geesey)。飲料水には毒性のある表面コーティングの実際例はない。
表面積 表面の滑らかさ
流速 境界層における遅い流れ 表1:ラミナー亜層の厚さ くミクロン)【Pittner1988】
最近のE.・.RDSフラッシュ速度は約2フィート/秒 細胞外ポリマーによる強力な付着 速い流速は細菌がパイプ表面に付着するのを防止しないけれども、バイオフィルム構造に以下の影響を持つ。 より密なバイオフィルム 限られたバイオフィルムの厚さ 限られた栄養 表2:純水システムに存在する細菌の発育に必要な栄養素(Mittelman1985)
基質栄養 純水 細菌は“餓死”しうるか、あるいは、少なくとも有機質栄養と酸素を取り上げることによって発育を抑制することができるか?あいにく、微量の有機質でも多くの細菌を養うことができる。これは、Pittnerによる以下の例で説明される。 “1mlの水サンプル中の有機質の100億分の1でも菌体に変換されるならば(細菌の20 %が有磯質で、その比重は水のそれとぼぼ等しいと仮定)、それぞれの直径が1ミクロンの9,500個の細菌が1 mlのサンプル中に存在する。” すなわち 1ppb有機質一9,500個の細菌/ml 現在利用できるテクノロジーでは栄養レベルを完全に減らすことができないので、細菌の完全なコントロールは単に栄養をコントロールすることによっては達成できない。同様に、“非常に少量の酸素が、たとえ細菌が嫌気性呼吸に変異しないとしても(多くの細菌はこの能力を持っている)、贅沢な細菌発育を支えるのに十分である。これらの理由のため、発育中の細菌集団は高純度の給水システムの中でも生存することができる。(Pittner 1988) 栄養の乏しい環境は実際には細菌の表面への付着を促進する。なぜなら、そこは微量有機質が集積しバイオフィルム中の細胞外ポリマーが微量栄養を捕捉するところであるからである。 細菌を完全に飢餓にすることはできないけれども、栄養に乏しい逆浸透水が通常の飲料水供給よりもバイオフィルムを少なくする。 細菌細胞の大きさ、割合、そして給水システム 菌体の大きさを典型的なステンレススチールパイプの中の溝やでこぼこの深さとどのようにして比較するか?この溝にフィットするのは一つの細胞なのか100万の細胞なのか? バイオフィルムの厚さがフラッシングによって、たとえば 100 または 50 ミクロンに制限されれば、これは何個の数の細菌の厚さか?それは、パイプ壁に、あるいはパイプ表面の溝の中に嫌気性菌のゾーンがあると見なすのに十分な厚さか? バイオフィルムの厚さを1/2”ステンレススチールパイプの内部直径とどのように比較するのか? このセクションでは、個々の細菌細胞の大きさと割合を、表面の粗さ、バイオフィルムの厚さそしてパイプ直径とどのように比較するかを示す。 表面仕上げと細胞の大きさ 長年、ステンレススチール表面に施される仕上げは#4 のような数字または150 grit のような grit で定義される酪農基準であった。Grit 仕上げは機械的研磨で用いられ、研磨剤のインチあたりの grit 線の数を表す:数が多いほど仕上げが滑らかである。酪農および製薬工業は今でも仕上げに grit コーディングを使用しているが、表面の粗さをもっと正確に測定できるシステムに動いている。 表面の粗さはプロファイルメーターで測定できる。これは表面プロファイルを横切ってトレースするために用いられる鉄筆装置である。結果は RA(表面の中心線からの隔たりの算術平均)または RMS(中心線からの隔たりの自乗平均)のいずれかで表される。RA またはRMS の値はミクロン(またはミクロインチで表される。Edstrom Industries の製図では、表面の粗さはミクロインチの RMS として特定される。RMSは特定表面でRAの数よりも約11%高い。[RA x l.11=RMS] 製薬用の水のためのステンレススチール配管の仕上げ プラスチックパイプの滑らかさ Edstrom lndustries の設備とバルブの仕上げ Edstrom Industries のステンレススチール室内配管材料の仕上げ 表3.表面測定の比較(Meltzer1993
プロファイルの高さ バイオフィルム細菌細胞の典型的な大きさ 表面プロファイルを細菌細胞の大きさと比較する
図8と9は180−gritステンレススチール表面上の緑膿菌細胞の実際の写真である。これらの写真に見られる細菌細胞と表面の傷の相対的な大きさは図7の1801gritプロファイルに似ている。 “バイオフィルムは単層の細胞でできているか、または藻菌マットと同じ 300-400 mm の厚さになる。”(Characklis 1990) フラッシングは自動給水システムにおいてバイオフィルムの厚さを制限する。先に考察したように、フラッシングによるかきとる力はパイプの中央の乱流中にまで伸びるバイオフィルムを脱落させる。それゆえに、バイオフィルムの最大の厚さは特定流速におけるラミナー層とほぼ同じである。 表1は Edstrom Industries の1/2 インチステンレススチール RDS パイプにおけるいろいろな流速に対するラミナー層のおおよその厚さを示している。現在の自動給水システムでは、RDS 配管は約 1.25 gpmでフラッシングされている。これは平均2フィート/秒の流速である。2フィート/秒では、バイオフィルムの厚さは約 125 ミクロンに制限されなければならない。次世代 AWS において、目標はフラッシング流速を 2.3 gpm に増やすことである。これは平均 5 フィート/秒の流速である。5フィート/秒では、バイオフィルムの厚さは約50ミクロンに制限されなければならない。 図10は Edstrom Industries のステンレススチール RDS 配管におけるいろいろなフラッシング速度での最大のバイオフィルム厚さを示している。バイオフィルムの厚さも利用できる栄養によって制限を受けるので、平衡の厚さは栄養がフラッシング速度によって制限さえされればそれ以下になることを銘記されたい。 緑膿菌の個々の細胞とバイオフィルムの厚さを比較し、バイオフィルムが細菌の多くの層を持っていることに注意しよう。また、表面仕上げにおける不規則性は最大可能なバイオフィルムの厚さに比べて小さいことにも注意しよう。これは、研究者が何を発見したかを説明する(・anhaecke 1990):表面に付着する細菌の最大数は表面の粗さには関係ない。 嫌気性の表面条件 自動給水システムにおけるバイオフィルムは嫌気性ゾーンができるほど厚くなるか?ある資料(下記)によると酸素は水/バイオフィルム・インターフェースの 30〜40 ミクロン内で桔渇することを示唆している。バイオフィルム内への酸素勾配の深さは大量の水の中の酸素含量、水温および水流によって変化するが、これによって酸素がどこまで拡散キるかについておおざっぱな考えが得られる。 “好気性の緑膿菌バイオフィルム単独培養としては 30〜40 ミクロンの深さまで発育するが、培地が嫌気性菌によって修正されるときには 130ミクロンの深さまで増加する。この間接的証拠は、栄養の剥脱でなく一酸素の剥脱が緑膿薗の垂直的発育を制限することを示唆している。”(Costerton 1995) 自動給水システムにおけるバイオフィルムの厚さはフラッシングによって制限されるだけであるが、それは 50〜125 ミクロンの厚さで嫌気性ゾーンを持つ。もちろん、O−リングパイプジョイントやねじ切り付属品はもっと深いバイオフィルムを持ち嫌気性ゾーンを持ちやすい。
バイオフィルムの厚さはフラッシングによってのみ減らすことができ、栄養あるいは消毒の影響を受けないことに注目しよう。異なる流速における1/2”ODステンレススチール RDS パイプのラミナー亜層の厚さの比較図。 バイオフィルの最大の厚さと、34 ミクロインチ RMS 表面のプロファイルおよび緑膿菌細胞(底の左右)んの大きさとを比較せよ。 パイプ直径と比べたバイオフィルムの厚さ 微生物学的な影響による腐食 酸素消耗あるいは通気差異細胞
バイオフィルムの不均一な(寄せ集めの)コロニーの結果として、通気差異細胞ができる。そこでは、呼吸しているコロニーの下のエリアが周りのコロニーのないエリアと比較して酸素が枯渇している。金属上の2つの位置における異なる酸素濃度のために、電位差ができ、その結果として腐食が起きる。好気性条件下では、呼吸しているコロニーの下のエリアは陽極になり周りのエリアは陰極になる。 ステンレススチールの保護フィルム 硫黄還元細菌 “SRB 活性を抑えるための1つの方法はその必須栄養素すなわち燐、窒素および硫黄の濃度を減らすことである。このようにして、純(RO または DI)水では SRB の問題が少ない。また、バイオフィルムの厚さを最小限にするための手段(フラッシング、消毒、デッドエンドの割れ目を無くすこと)によって SRB が必要とするバイオフィルム中の好気エリアが少なくなる。” (Geesey 1994). 細菌の代謝の副産物 酸産生菌 水素産生細菌 鉄細菌 バイオフィルムの消毒方法 表4.典型的な殺菌剤の用量[注:mg/ml=ppm](Mittelman1986)
酸化性殺菌剤 オゾン>2酸化塩素>塩素>ヨウ素>過酸化水素 塩素 Characklis(1990)は下記の手段を取ることによって塩素処理プログラムを改善するように推奨している。
2酸化塩素 オゾン “オゾンは通常、1-2 mg/Lで持続的に用いられる。持続的に高濃度を用いても成功しない。これは、おそらく純水中のオゾンの溶解性に限界があるからであろう:高濃度のオゾン溶液をつくることは難しい(Miielman1986)。”それぞれ1−2mg/Lで比較すると塩素はオゾンほど強力ではないけれども、塩素は高濃度で用いて同じ消毒効果を出すことができる。 過酸化水素 非酸化性殺菌剤 第4級アンモニウム塩 フォルムアルデヒド 陰イオンおよび非イオン界面活性剤 物理的処理 熱 機械的除去 殺菌剤耐性 ヒト、動物、および植物の病気にかかわる細菌と戦うために用いられる抗生物質とは異なり、細菌は工業用殺菌剤には同じタイプの耐性を発現しない。抗生物質と工業用殺菌剤との違いは、抗生物質が細菌細胞の上または中に少数の標的部位を持つのに対して、すべての酸化性殺菌剤は多数の潜在的標的部位を持つことである。たとえば、塩素は100以上の潜在的標的部位を持つと考えられている。このような化合物に対して微生物が一般的な耐性を発現することは実質的に不可能である(Mittelman1986)。しかしバイオフィルム中の細菌はスライムで保護されるので殺菌剤に耐性になることができる。 バイオフィルムの回復(再発育) バイオフィルムを伴う細菌は浮遊微生物よりも殺したり表面から除去するのが困難である。Characklis(1990)によれば、数多くの研究者およびプラントオペレーターは“塩素処理ののちに即座に急速な生物汚染の再開のあること”を観察している。バイオフィルムの不完全除去によってその平衡状態に速やかに戻り消毒後の総菌数の跳ね返りを起こす。 図13(Mittelman)は消毒後の典型的な再発育を示している。最初はバルク水中の菌数はゼロに落ちるが、徐々に増加し処理前のレベルまたは以下になる。この例において再発育は2日後に始まり20日後に平衡レベルに戻る。これはEdstrom Industriesでの社内試験での結果と似ている。
Characklis(1990)によれば、バイオフィルムの回復は以下の1つまたはすべてに起因する。 1. 残ったバイオフィルムには十分な生菌が含まれているので再発育に遅延段階がない。このように、ショック塩素処理後のバイオフィルムの回復は清浄なパイプ上に初めて蓄積するよりも速い。 2. 表面に残ったバイオフィルムは清浄なパイプよりも表面を粗くする。粗い沈着物は表面を粘着性にし、水から細菌細胞や他の化合物を吸着しやすくなる。 3. 塩素は細胞外ポリマーを選択的に除去するがバイオフィルム細胞を除去しない。このように、残ったバイオフィルム細胞は塩素処理が終わったときには栄養素に以前よりも暴露されている。 4. 生き残った微生物は塩素による刺激に対する防衛反応としてより多くのスライム(細胞外ポリマー)をつくる。 5. 消毒剤に感受性の低い微生物の選択がある。通常、これは緑膿菌のような過剰のスライムを産生する微生物である。
おそらく消毒が自動化されていたら、自動給水システムはバイオフィルムが完全に回復する前に数日おきに簡単に再消毒できたであろう。 細菌の検出と菌数測定 多くの細菌はバイオフィルムの中にいる 水のサンプルは浮遊細菌しか集めない。動物の飲水中の浮遊細菌はバイオフィルムから抜け落ちたものか入ってくるか供給水から通過してきたもののいずれかである。プレートカウント数が低かったら、給水システムの中に細菌が存在しないと思ってはならない。給水システムの中の細菌の99%以上は、パイプ表面に付着したバイオフィルムの中にいる。成熟バイオフィルムの統合性がフラッシングまたは消毒によって破壊されなかったならば、飲水中に多くの細胞を抜け落ちさせないが、そこにはいぜんとして存在する。Smith(1987)は次のように言っている、 “あなたが水のサンプルを採取するとき、システムの中の細菌の”迷子“だけをサンプリングしているのであって、主要な“群”をサンプリングしているのでぼない。” プレートカウントはすべての生菌を検出しない プレートカウントはサンプル中の細菌が特定の栄養培地に発育する能力に基づいている。細菌が一つの栄養で発育するとき明瞭なコロニーを形成する。理論的に、コロニーは単一の細菌細胞に由来する。細菌の過小評価には一つしかコロニーを形成しない細菌の塊によって起きることがある。 生菌が栄養の乏しい純水中で非常に低いもう一つの理由は、その細菌が飢餓状態にあってリッチな栄養培地で発育できないことである。リッチな検査培地は高純度の水システム中に生きることに適応している細菌には有毒である。純水からの細菌の回収を高めるには、特殊培地(R2A寒天)、培養温度の低下、培養時間の延長が用いられることがある。 粒子シャワーを理解する 菌数測定の結果が非常に散漫に思えることがある。システムの1ポイントから採取したサンプルが 10 cfu/ml 以下から数え切れないまで変動することがある。あるいは、通常、菌数は低いがときどき高い菌数が現れる。この変動には、バイオフィルムが定期的に“脱落”し菌数を飛び上がらせることを理解することによって説明できることがある。Patterson(1991)によれば、“特定の位置におけるバイオフィルムの統合性の突然の破壊によって細菌と粒子のシャワーが時間的にランダムに起きる。” 結論 細菌は非常に上出来の生命形態を構成する。その進化において、細菌は上出来の生存戦略を開発してきた。それには表面への付着と保護バイオフィルムの発育が含まれる。そこでは浮遊細菌とは非常に異なる行動をする。上出来の戦略によって自動給水システムにおけるバイオフィルムの発育をコントロールすることが難しくなっている。 どのようにしてバイオフィルム細菌は我々の細菌を除去しようとする試みを回避するか
だから、解決策は何か? とにかく浄化する! 浄化は栄養を、特に腐食問題を起こす硫黄還元細菌のような微生物のための栄養を多少とも制限する。栄養の乏しいRO水は水道水よりも細菌数が少ない。これは薄いバイオフィルムを意味する。さらに、動物はより高質の飲水を飲むことができる。 とにかくフラッシングする 定期的フラッシングはバイオフィルムの厚さを最小限にする。薄いバイオフィルムほど嫌気性ゾーンが少なく消毒剤が拡散してパイプ表面に達するまでの距離が短くなる。 とにかく割れ目を最小限にする 表面仕上げはバイオフィルムの付着に関するかぎりあまり問題ではないが、大きな割れ目をなくすることは(O-リングジョイントのように)消毒が困難で腐食性の高いバイオフィルムの深いポケットをなくする。また、電気研磨は耐腐食性を高める。 とにかく消毒する バイオフィルムが仮に3日で回復しても、1−2 日ごとに消毒することによって、ノックダウンできる。これは自動塩素またはオゾン消毒によってすることができる。 ただ一つの簡単な答はない。持続的な塩素レベルを給水に入れられなければ、併用戦略を採らなければならない。しかし、我々が持っているすべての武器を用いるならば、我々の顧客や実験動物のニーズを満足させる細菌学的水質をかならず得られるだろう。 結論
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